最近は、病院で働きたいと考える薬剤師も増えています。
抗がん剤や緩和医療用の医薬品などを扱うので、医薬品の数は調剤薬局と比較にならないほど多いですが、薬剤師として得られるスキルも多いです。
しかし、院内の労働環境や給料に不満を持ちつつも、懸命に働いている薬剤師の方がいるのも事実。
入院設備のある病院では夜勤や当直がありますよね。
そのことが理由で病院で働くことをためらってしまう方もいるのではないでしょうか?
しかし、当直や夜勤があるのは基本的に正社員のみで派遣薬剤師はありません。
今回は、そんな病院派遣薬剤師について紹介します。
病院派遣薬剤師の派遣は違法
結論から言うと、病院への薬剤師派遣は違法となっています。
どんなに病院で人手不足になり薬剤師を雇いたくても、派遣としては薬剤師を募集できません。
正社員かパート・アルバイトでの雇用が原則。
派遣では「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」が適用され、労働者派遣事業を行ってはいけない4つの業務を指定しています。
労働者派遣事業を行ってはいけない4つの業務
- 港湾運送業務
- 建設業務
- 警備業務
- 病院等における医療関係の業務
④では具体的に「病院・診療所等における医療関連業務の禁止」として医師、歯科医師、薬剤師の調剤、保健婦、助産婦、看護師・准看護師、栄養士等の業務を指しています。
あれ?薬剤師の調剤業務が派遣として禁止されてます。
調剤薬局で派遣として働いている人はたくさんいますよね?
実は、例外があるのです。
病院等における医療関係の業務の例外
- 紹介予定派遣
- 病院・診療所等(介護老人保健施設または医療を受ける者の居宅において行われるものを含む)以外の施設、(社会福祉施設等)で行われる業務。
- 産前産後休業・育児休業・介護休業中の労働者の代替業務。
- 就業の場所がへき地・離島の病院等及び地域医療の確保のため都道府県(医療対策協議会)が必要と認めた病院等における医師の業務。
参考>>>厚生労働省
2.では「病院・診療所等以外で行われる業務」が例外になっているので、病院や診療所以外の調剤薬局やドラッグストアでは派遣をしてもOKということになりますね。
また、病院への派遣では1と3が該当すれば問題がないことがわかります。
産前産後休業・育児休業・介護休業中の労働者の代替業務
病院の派遣薬剤師として働くケースは、ほとんど3.に当てはまります。
病院で働いている薬剤師が、産休や育休などで長期間に渡り休むことになった場合ですね。
代替えの人員確保として派遣薬剤師を雇うので、休んでいた薬剤師が復帰すれば契約は終了となります。
病院で紹介予定派遣として働く
希少なケースとなりますが、1.の紹介予定派遣で働くことも可能です。
紹介予定派遣とは、派遣期間後に正社員や契約社員として働くことを前提として働くことです。
とはいっても、お互いの合意がなければ正社員として働くことはありません。
通常の派遣では、派遣先と面談することが禁止されているのですが、紹介予定派遣は派遣先と事前面談が行われます。
正社員や契約社員として採用される前提であることから、採用側が事前選考を行う必要があるからですね。
また、派遣期間にも特徴があります。
通常の派遣では最大で3年と定められていますが、紹介予定派遣では最長で6カ月となっています。
派遣では30日以内の短期派遣が禁止されています。
条件次第では単発派遣で働けるケースもあるので、気になる方はこちらの記事も参照してください。
【アルバイト】薬剤師の単発派遣で働くには?【1分で簡単登録】
続きを見る
紹介予定派遣のメリットとして、正社員になる前に職場の雰囲気を知れるのでミスマッチを防ぐことが出来ます。
病院派遣薬剤師の求人を実際に見てみよう
大手薬剤師転職サイトの『薬キャリAGENT』で【病院 派遣】との条件で求人を検索してみます。
求人①
求人②
求人③
求人④
何件かよさげな求人をピックアップしてみました。
基本的に、病院派遣薬剤師の雇用期間は短めになっています。
先ほど説明した通り、病院派遣薬剤師は産休や育休などで長期間に渡り休むことになった場合の人員確保として雇われるパターンがほとんどだからです。
休職した薬剤師の代わりと働くので、休んでいた薬剤師が復帰するタイミングで契約は満了します。
しかし、最近では産休・育休制度をフル活用する世間の流れがあるので、育休が取得できる1年から2年程度は働ける可能性がありますね。
病院派遣薬剤師の時給に関しては、3000円前後が相場と言えます。
調剤や経験があれば交渉次第で3000円半ばまで目指せますが、月収で見ると調剤薬局より低めの金額となってしまいます。
なぜなら、調剤薬局や調剤併設のドラッグストアでは営業時間が長いので、必然的に勤務時間が長くなる傾向にありるからです。
病院だと17時まで働くケースがほとんどなのに加え、土日出勤がありません。
病院派遣薬剤師の働きやすさ
病院で働く薬剤師には夜勤や当直がありますが、派遣薬剤師にはありません。
病院で正社員として働く薬剤師には夜勤や当直は義務となっており、生活のペースを仕事に合わせなければならない点では体力的にきついと感じてる薬剤師もいます。
一方、派遣薬剤師はほとんど残業をすることがありません。
たまに残業前提での雇用契約を結ぶ薬剤師もいますが、事前に話し合いのうえ合意されたケースなので派遣先から残業をおねがいされることはありません。
調剤薬局やドラッグストア勤務の場合と同様、残業は基本なしと考えて問題ありませんね。
休みの取得に関しても、前もって派遣会社と派遣先に許可を得た上で休むの全く問題ありません。
しかし、病院派遣薬剤師は、産休・育休で出た人員確保のために雇われています。
家庭の事情で急な休みが想定される薬剤師は、あまりお勧めできない職場となっています。
病院派遣薬剤師として求められるスキル
調剤薬局と同様、病院派遣薬剤師の仕事は調剤業務です。
なので、病棟業務に携わることはほとんどありません。
抗がん剤の取扱経験などの要件があるところで採用された場合は、混注業務やその他の病棟業務にも関わることがありますが、基本的には決まった仕事を与えられます。
なので、病院薬剤師として働くには調剤経験が必要。
病院経験は問わないことがほとんどなので、調剤薬局や、調剤併設のドラッグストアでしか働いたことが無い薬剤師でも病院派遣薬剤師として働くことが出来ます。
病院では患者さんや医師とのコミュニケーションが必要な業務となっているので、調剤薬局と比較するとより医療に近い業務をすることから応募することをためらってしまう方もいます。
患者さんに寄り添う医療人としての志を持っており、薬剤師としてより一層スキル向上を目指したいと考えるなら、病院派遣薬剤師の仕事はぴったりの職場と言えますね。
病院派遣薬剤師の今後
病院派遣薬剤師は法律の制限があって、特定の条件を満たした場合でしか働けないことを説明しました。
薬剤師不足がなかなか改善されない中、病院派遣の条件は緩和されないのでしょうか?
米子市内で開かれた日病薬中国四国ブロック会長会議で、日本病院薬剤師会としての発言で、病院への派遣薬剤師については「容認できない」との考えを示しました。(参考:薬事日報)
産休・育休や介護休業する薬剤師のかわりに派遣する場合は例外規定があることに関して、「法の隙間を突いている」との批判的な発言があることから、病院への派遣制限は今後も緩和されることが無いと考えられます。
【最後に】病院派遣薬剤の求人は希少なので準備しておくことが大切
病院派遣薬剤師について紹介しました。
病院派遣薬剤師は、派遣先の急な人員確保のために求人を出すことがほとんどなのでとても希少。
いいなと思った求人はすぐに埋まってしまうので、病院派遣薬剤師として働きたいと考えているならすぐに働ける環境を整う事が大切です。
そこで、初めてでも自信を持ってオススメできるの派遣会社3社を紹介します。
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転職エージェント名 | 特徴 |
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求人サイトに載る前に情報を手に入れるためには、派遣会社に登録することがおすすめ。
担当者にきちんと希望を伝えておけば、優先的に求人を紹介してもらうことが出来ます。
派遣薬剤師として病院で仕事をするなら、まずは派遣会社に登録しましょう。